新築注文住宅ホームインスペクション

【サッシまわりの透湿防水シート施工に注意!】🏠☔

【サッシまわりの透湿防水シート施工に注意!】🏠☔

「ぴったり付ける」が正解とは限りません

新築住宅の第三者検査で、外壁の透湿防水シートを確認するとき、私が入念にチェックしている部分のひとつがサッシまわりです。

特に確認するのが、透湿防水シートの端部とサッシとの納まり。

一見すると、

「隙間なくぴったり施工した方が防水性能は高いのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、サッシの上部や左右では、透湿防水シートをサッシに密着させるのではなく、5mm程度のクリアランスを確保する納まりが重要です。

こうした納まりは、住宅瑕疵担保責任保険法人の設計施工基準に関する参考図などでも示されている施工上のポイントです。

なぜ、わざわざサッシから少し離すのでしょうか?

そこには、雨水の動きが関係しています。

写真では透湿防水シートがサッシ上部に接触

今回の写真を確認すると、サッシ上部の透湿防水シートがやや垂れ下がり、サッシ上部に接触している状態でした。

「ほんの少し触れているだけだから問題ないのでは?」

と思うかもしれません。

しかし外壁防水では、このようなわずかな納まりの違いも確認しておきたいポイントです。

外壁材の裏側には、条件によって雨水が入り込むことがあります。

そのため現在の木造住宅では、外装材だけですべての雨水を止めるのではなく、その内側にある透湿防水シートを二次防水層として機能させる考え方が一般的です。

つまり重要なのは、

「もし外壁材の裏側まで雨水が入ったら、その水をどう外へ排出するのか?」

という視点です。

なぜサッシと透湿防水シートを離すのか?

理由のひとつが、毛細管現象による水の引き込みを抑えるためです。

毛細管現象とは、狭い隙間などに水が入り込み、表面張力などによって水が移動する現象です。

例えば、2つの材料が密着している部分に雨水が到達すると、その狭い隙間へ水が入り込みやすくなる場合があります。

サッシと透湿防水シートが接触していれば、その接触部分が水の移動経路となる可能性があります。

そこで、サッシと透湿防水シートの間に一定のクリアランスを設けることで、毛細管現象によって雨水を引き込む経路をつくらないことが重要になります。

わずか5mm程度。

しかし、雨仕舞ではこうした細かな納まりが大切です。

特にサッシ左右は「水の通り道」になりやすい☔

サッシ上部だけではなく、特に注意したいのがサッシ左右の側面です。

外装材の裏側へ入った雨水や、サッシ上部から流れてきた水は、重力によって下方向へ流れます。

そのため、サッシ左右は雨水の排水経路になりやすい部分です。

この部分で透湿防水シートがサッシに密着していると、条件によっては接触部分に水が入り込みやすくなります。

だからこそ、

「雨水を止める」だけでなく、「雨水が流れてきたときに、どこを通って排水されるのか」

まで考えた施工が重要です。

住宅の雨漏り対策では、この水の流れを読むことが非常に大切だと考えています。

ポイントは「防水テープを貼る位置」🔍

では、どうすればサッシと透湿防水シートの間に適切なクリアランスを確保しやすくなるのでしょうか?

施工のポイントは、防水テープを貼る段階にあります。

サッシまわりに防水テープを施工するとき、あらかじめサッシから5mm程度離した位置に防水テープを施工します。

その後、透湿防水シートの端部をその防水テープの位置に合わせて施工します。

そうすることで、

透湿防水シートを無理に調整しなくても、自然とサッシとのクリアランスを確保しやすくなります。

つまり、完成した状態だけを直そうとするのではなく、

「その前の工程から、正しい納まりになるように施工しておく」

ことがポイントです。

これは住宅施工全般に共通する考え方です。

透湿防水シートは「張ってあればOK」ではありません

新築住宅の検査では、

「透湿防水シートが施工されているから大丈夫」

とは判断しません。

重要なのは、どのように施工されているかです。

例えば、

✔ サッシまわりの防水テープの施工状態

✔ 透湿防水シートの重ね代

✔ シートの破れ・穴

✔ 配管貫通部の防水処理

✔ バルコニーや下屋との取り合い

✔ シートのたるみ・ふくらみ

✔ サッシとのクリアランス

などを確認します。

透湿防水シートは、外壁内部へ雨水を入れないための重要な二次防水層です。

ほんの数mmの納まりや、数cmのテープ処理の違いが、長い年月の中では雨漏りリスクの差につながることがあります。

雨漏りは「大きな施工ミス」だけが原因ではありません

雨漏りというと、

「防水シートが大きく破れていた」

「防水テープが貼られていなかった」

といった分かりやすい施工不良をイメージするかもしれません。

しかし実際の現場では、もっと細かな納まりが原因になることもあります。

材料そのものは施工されている。

防水テープも貼られている。

透湿防水シートも張られている。

それでも、水の流れを考えた正しい納まりになっていなければ、防水性能を十分に発揮できない可能性があります。

だからこそ私は、

「何が付いているか」ではなく、「なぜこの施工をするのか」

を理解した施工が重要だと考えています。

サッシまわりは外壁防水検査の重要ポイント

新築住宅の第三者検査では、外壁防水に関する指摘が比較的多くなる傾向があります。

その中でもサッシまわりは特に注意する部分です。

サッシは外壁に設けられる大きな開口部。

つまり、連続している透湿防水シートを一度切る場所でもあります。

そのため、

サッシ・防水テープ・透湿防水シートをどのようにつなぎ、防水層を連続させるのか

が非常に重要です。

外壁材を施工してしまえば、この部分はほとんど見えなくなります。

完成後のホームインスペクションでは、透湿防水シートの施工状態を直接確認することは困難です。

だからこそ、外壁材を張る前の施工途中で確認する第三者検査に意味があります。

「わずか5mm」を確認するのもインスペクションの役割です🏠

今回ご紹介したのは、

サッシと透湿防水シートの5mm程度のクリアランス

という、とても細かな部分です。

一般のお施主様が施工現場を見ても、なかなか気付きにくいポイントだと思います。

しかし住宅の施工品質は、このような細かな納まりの積み重ねで決まります。

雨水がどこから来るのか。

どこを流れるのか。

どこへ排水されるのか。

そして、水を壁内部へ引き込むような納まりになっていないか。

こうした視点で一つひとつ確認していくことが、将来の雨漏りリスクを減らすことにつながります。

「5mmくらいだから大丈夫」ではなく、「その5mmには理由がある」。

細かな部分ですが、こうした施工こそ大切にしたいポイントです。


愛知・名古屋で新築住宅の第三者検査・ホームインスペクションをご検討の方へ

株式会社家のちえでは、名古屋市・愛知県を中心に、岐阜県・三重県で新築住宅の第三者検査・ホームインスペクションを実施しています。

外壁防水検査では、

透湿防水シート・サッシまわり・防水テープ・配管貫通部・バルコニー・外壁通気層

など、完成すると見えなくなる部分を一級建築士が第三者の視点で確認します。

「材料が付いているからOK」ではなく、

「その材料が本来の性能を発揮できる施工になっているか」

まで確認することを大切にしています。

株式会社家のちえ
一級建築士 × 第三者検査・ホームインスペクション

住宅は、見えなくなる部分こそ重要です。

小さな施工の積み重ねが、将来の雨漏りリスクや住宅の耐久性を左右します。

関連記事

TOP